シンガポールで生活を始めるにあたり、外国人としてコンドミニアム(通称:コンド)に入居する方が多いかと思います。
一般的には「エージェント」と呼ばれる、不動産(賃貸契約)のプロにサポートしてもらい、候補物件の内覧から賃貸契約の締結、入居までを進めます。
今回は、その一連の流れと注意点についてご説明します。
この記事の内容
シンガポールでコンドミニアムに入居(賃貸契約)する際の手順
シンガポールでコンドミニアムに入居(賃貸契約)する際の注意点
シンガポールでコンドミニアムに入居(賃貸契約)する際の手順
シンガポールで生活を始めるにあたり、住居探しは「エージェント」と呼ばれる不動産のプロを通して行うことが一般的です。
勤務先との雇用契約によって、賃貸契約の契約名義が「会社契約」となるか、「個人契約」となるかは変わりますが、「エージェント」に知り合いがいなければ、できれば、勤務先を通じて紹介してもらうと安心でしょう。
入居に向けての、大きな流れは以下のようになります。
物件内覧
↓
条件交渉
↓
申込み(仮契約) ※手付金の支払いを伴う
↓
本契約 ※保証金・印紙税の支払いを伴う
↓
引渡し
それぞれのステップにおいて、もう少し詳しく見てゆきましょう。
コンドミニアムに入居(賃貸契約)する際の手順① 物件内覧
まずは、エージェントに「住居に対する希望や予算感(家賃の上限額等)」を伝え、候補物件をリストアップしてもらいます。
特にシンガポールへ来たばかりの頃は土地勘もありませんので、勤務先やお子さまの通学先などを起点とし、その場所に通いやすいエリアを見繕ってもらったり、「日本人が多く住んでいる」等の条件を伝えれば、エージェントが候補をあげてくれます。
住居に対する希望ポイントは人それぞれですが、「絶対に妥協できないポイント」と「妥協可能なポイント(可能であれば満たして欲しい、というポイント)」を明確に分けて、予めエージェントに伝えておくと、候補物件のレベルがぶれなくて良いかと思います。
ちなみに、私の「絶対に妥協できないポイント」は、「ダストシュート(ゴミ廃棄用の投入口)が室外にあること」でした。
エージェントに候補物件をリストアップしてもらった後、その候補となるコンドを自身でもネットでざっと確認し、異論がなければ、内覧(ビューイング)させてもらいます。
内覧は一般的に、10軒弱の候補物件(同じコンド内で数部屋、内覧することもあり)を一日で一気に見ます。
エージェントがスケジュールを組み、各部屋のオーナーや相手方のエージェントと調整した上で、順次、連れて行ってくれます。
時間に限りがありますし、複数の部屋を一気に見ることによって、後で思い出す際に混乱することもありますので、確認したいポイントをノート等に書き出しておき、現場でさっと「〇」「△」「×」などを書き残しておくと、後々、検討する際に役立ちます。
部屋の様子もいろいろ写真で撮っておくと良いですが、最初に玄関先の「部屋番号」プレートを撮っておくと、後から思い出す際に役立ちますので、おすすめです。
内覧時に気になる点があれば、できるだけ現地で確認しましょう。
ここは遠慮なく、エージェントを通して聞いてもらうのも良いでしょう。
この一度の内覧で決める方もいれば、二度目の内覧(別の候補物件をお願いしたり、気に入った部屋を再度見せてもらったり)を希望する方もいます。
どちらにしても、エージェントに相談しながら進める流れとなります。
コンドミニアムに入居(賃貸契約)する際の手順② 条件交渉
入居したい物件が決まったら、エージェントに伝えます。
候補が複数ある場合は、「優先順位」を付けて伝えると良いでしょう。
その際、その候補物件に対する「希望条件」も伝えます。
一般的には、「家賃交渉」「契約期間交渉(拘束される期間の短縮など)」「追加で付帯して欲しい備品やサービス」「撤去して欲しい備品」などとなります。
ちなみに、「追加で付帯して欲しい備品やサービス」としては「エアコンの定期メンテナンスサービス」や、「撤去して欲しい備品」には「予備のベッドルームに設置されているベッド」などがあります。
エージェントがこちらの希望をオーナー側に伝えた後、通常、一日以内くらいで回答があります。
その回答次第で、交渉を続けることもあれば、次の候補物件との調整に移ることもあります。
どちらにしても、エージェントを通して行いますので、エージェントには(無茶を言い過ぎない範囲で、でも、我慢もし過ぎず)素直に相談しましょう。
コンドミニアムに入居(賃貸契約)する際の手順③ 申込み(仮契約)
条件交渉がまとまると、「仮契約」に進みます。
「仮契約に必要な書類(LOI = Letter of Intent)」は、基本的にはエージェント側で用意してくれます。
その仮契約書(LOI)が出てきた後、「基本条件」に加え、追加で交渉した「希望条件」が網羅されているか確認してください。
内容に問題がないことを確認できた後、契約者がサインをします。
「会社契約」であれば、勤務先に伝えて、サインをしてもらいます。
このタイミングで、「手付金」の支払いが発生します。
一般的に、「家賃1ヶ月分」となります。
最終的に本契約が完了した後、この「手付金」は初回の家賃払いに振り替えられます。
コンドミニアムに入居(賃貸契約)する際の手順④ 本契約
仮契約書(LOI)の締結が完了した後は、よほどのことがない限り、本契約に進みます。
本契約に必要な「賃貸契約書(TA = Tenancy Agreement)」が送られてきたら、内容をよく確認しましょう。
一般的な契約文言も多いのですが、こまかな条件が明記されている為、確認は必須です。
ただ、全文英文ですので、正直、さっと読める方は少ないかと思います。
エージェントに「コピー&ペーストできるデータ形式」で送ってもらうようお願いすると、「Google 翻訳」機能を活用できる為、おすすめです。
内容に問題がないことを確認できた後、契約者がサインをします。
「会社契約」であれば、勤務先に伝えて、サインをしてもらいます。
このタイミングで、「保証金(セキュリティ・デポジット)」の支払いが発生します。
一般的に、「家賃2ヶ月分」となります。
この「保証金」はずっとオーナー側で保持され、退去する際に返済されます。
もし、退去時に部屋の「原状回復」が必要と言われた場合、その対応にかかる費用をオーナー側が「保証金」から差し引いて、残金を返済する流れとなります。
また、「保証金」に加えて、賃貸契約書(TA)の締結時に必要となる「印紙税」の支払いも必要となります。
金額は2年契約の場合、「家賃1ヶ月分の1割弱」となります。
先に一旦、エージェントが立て替えて処理を進めてくれている場合が多く、その場合はエージェントにその金額を支払う形となります。
コンドミニアムに入居(賃貸契約)する際の手順⑤ 引渡し
本契約の締結が完了すると、両エージェント立会いのもと、引渡し(ハンドオーバー)となります。
当日は、「家具・備品リスト(Inventory List)」をもとにオーナー側のエージェントから部屋の確認と説明を受け、最後はサインします。
サイン後は入居者(テナント)側の管理責任となりますので、部屋で確認する際に懸念事項があれば、必ずサインする前に伝えてください。
状況に応じて、エージェントがリストを修正したり、補足コメントを書いてくれます。
また、引渡しから1ヶ月以内は、オーナー側の保証期間であることが一般的です。
事前にエージェントに確認しておき、入居後はしっかり部屋や備品類をチェックした上で、不具合があれば、1ヶ月以内にエージェントに伝えて、直してもらいましょう。(この期間以降は、賃貸契約書の条件に則っての対応となります)
このタイミングで写真を撮って、エージェントと共有しておくことも重要です。
これは、退去時の「原状回復」に対する説明にも役立ちます。
シンガポールでコンドミニアムに入居(賃貸契約)する際の注意点
希望に見合ったコンドを見つけて無事入居した後も、気持ち良く生活ができるよう、契約に際しては、以下の点に気をつけると良いでしょう。
「仮契約書(LOI)」や「賃貸契約書(TA)」に記載される、入居者(テナント)の負担や拘束となる項目は、サイン前に熟読・理解する
未来のことは誰にも予測できません。
その為、特に「Diplomatic Clause(シンガポール国外転勤等の特別事情における中途解約条項)」や「Minor Repairs(少額修理条項)」について、どのような設定がされているか、注意して確認する必要があります。
「Diplomatic Clause」は「2年契約の場合、14ヶ月以降は解約できる(1年経過後、2ヶ月の通知期間)」、「Minor Repairs」は「修理1ヶ所につき、SGD150.00までは入居者(テナント)負担」というものが一般的です。
内覧(ビューイング)の際、「あって当たり前」という概念は捨てる
「家具付きの部屋」を選ぶ方がほとんどだと思いますが、対象コンドの紹介ホームページ等に写真掲載されていても、現地にないものは、基本的に賃貸物件の対象に含まれていません。
また、家電製品等、日本で当たり前のように使っていたものは、思い込みもあってか、確認を見落としがちです。
「あって当たり前」という概念は捨てて、気になる点は内覧時にエージェントに必ず、確認しましょう。
一例として、ベッドはあっても「マットレス」が含まれていなかったり、「電子レンジ」や「靴箱」が設置されていなかったりします。
入居後1ヶ月以内に「不具合や汚れ等」は写真や動画に撮り、エージェント経由で報告する
引渡しから1ヶ月以内は「オーナー側の保証期間」となります。その間に、家具や家電製品等の動作確認、部屋の建て付けのチェックはしっかり行いましょう。
「窓の鍵」が閉まりにくかったり、「コンセント口」にプラグがささらない等の事象も起きることがあります。「インターフォン」の音声がよく聞こえない、という話も聞いたことがあります。
汚れに関しては、よほどのものでなければ、保証期間内にメンテナンスされることはありませんが、退去時に入居者(テナント)側の責任にされる可能性がある為、必ず証拠を残しておいて、保証期間内に伝えておくことをおすすめします。
入居後、オーナーが変わる可能性もありますので、証拠はしっかり残しておきましょう。
※退去時の「原状回復」等の詳しい情報は、下記をご覧ください。
【賃貸契約】シンガポールでコンドの契約更新や解約/退去する際の手順と注意点
オーナーの性格・タイプに気をつける
前述の通り、契約後にオーナーが変わることもある為、必須ではありませんが、その部屋に住む間、何かある度に、エージェント経由でオーナー側と相談・交渉する場面が出てきます。
オーナーが強引なタイプであったり、入居者(テナント)側に負担を強いてくるようなタイプの場合、ストレスがたまります。
条件交渉のタイミングで、オーナーがあまりにも付き合いにくい性格・タイプであった場合、部屋が気に入っていたとしても、少し落ち着いて、再考してみるのも良いかも知れません。
まとめ
海外生活において、新しい刺激にワクワクする反面、自宅ではゆっくりくつろぎたいものです。
気に入った環境で、少しでもストレスなく過ごせるように、賃貸契約締結は焦らず、確実に進めてゆきましょう!
この記事のまとめ
シンガポールでの住居探しは、一般的に「エージェント」と呼ばれる、不動産(賃貸契約)のプロにお願いすることが多い
入居に向けての大きな流れは、「物件内覧 → 条件交渉 → 仮契約 → 本契約 → 引渡し」となる
「賃貸契約書」にサインする前に、現場の実態や契約内容などを注意して確認し、懸念事項は必ず解消する
退去時のことも想定し、入居後1ヶ月以内に「不具合や汚れ等」は写真や動画に撮り、エージェント経由でオーナー側に報告する
オーナーの性格には(契約締結前に)気をつける