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【会社秘書役】シンガポール法人に必須の「Company Secretary」とは何か?

【会社秘書役】シンガポール法人に必須の「Company Secretary」とは何か?
タツオ
シンガポールの「会社秘書役」って何ですか?
「会社秘書役」は日本にはない制度なので、わかりにくいかも知れませんね。シンガポールの会社法で定められている、会社の機関の一つです。
ケイト

 

シンガポールで働いていると、「Company Secretary(カンパニー・セクレタリー)」という存在について耳にする機会があるかと思います。

日本語で「会社秘書役」とも呼ばれますが、日本にはない制度なので、馴染みのない方も多いでしょう。

 

このシンガポール法人にとっては必須の「会社秘書役」について、今回ご紹介します。

 

この記事の内容

「Company Secretary(カンパニー・セクレタリー/会社秘書役)」の基本情報

「Company Secretary(カンパニー・セクレタリー/会社秘書役)」の業務内容

 

「Company Secretary(カンパニー・セクレタリー/会社秘書役)」の基本情報

「Company Secretary(カンパニー・セクレタリー/会社秘書役)」とは、どんなものか?

「Company Secretary(カンパニー・セクレタリー/会社秘書役)」(以下、「会社秘書役」という)とは、シンガポールの会社法(Companies Act)によって、シンガポール法人に対して設置を定められた、会社の機関の一つです。

 

会社法に準拠してきちんと運営されるよう、日本でいう「司法書士」のように、国から求められる文書の作成や届出等の役割を担います。

 

その業務を遂行する為の人員「会社秘書役」を、シンガポール法人は最低1名置かなければなりません。

 

そして、「会社秘書役」は原則として、取締役により任命されます。

 

参考

Companies Act – 171 Secretary

Secretary

171.
(1) Every company shall have one or more secretaries each of whom shall be a natural person who has his principal or only place of residence in Singapore and who is not debarred under section 155B from acting as secretary of the company.
:
(3) The secretary or secretaries shall be appointed by the directors and at least one of those secretaries shall be present at the registered office of the company by himself or his agent or clerk on the days and at the hours during which the registered office is to be accessible to the public.

 

任命された「会社秘書役」は、「BizFile」に詳細情報が明記されます。

【会社秘書役】シンガポール法人に必須の「Company Secretary」とは何か?

 

※「BizFile」について詳しく知りたい方は、下記ページをご覧ください。

 

具体的な業務内容は追って、ご説明しますね。

ただ、先に知りたい方は、下記URLより飛んでご覧ください。

「Company Secretary(カンパニー・セクレタリー/会社秘書役)」の業務内容

 

「Company Secretary(カンパニー・セクレタリー/会社秘書役)」には、どのような人物がなれるのか?

「会社秘書役」に任命される人には、どのような条件があるのでしょうか。

 

「ACRA(会計企業規制庁)」の公式ホームページ には、以下のように記載されています。

A company must appoint a secretary within 6 months from the date of incorporation. A company secretary must be a natural person and locally resident in Singapore.

The position of company secretary must not be vacant for more than 6 months. The sole director of a company and the company secretary cannot be the same person.

Private limited companies need not appoint a professionally qualified secretary. Only public companies must appoint a professionally qualified secretary (e.g. lawyers, accountants and chartered secretaries).

 

つまり、会社設立から6ヶ月以内に任命されることを前提として(6ヶ月以上の空白期間は認められない)、基本的には以下の条件を網羅していれば「会社秘書役」に任命される条件を満たしていることとなります。

  • シンガポール居住者であること
  • 自然人(権利・義務の主体となる個人のこと。「法人」に対する用語)であること
  • 会社唯一の取締役と同一人物ではないこと
  • プライベート・カンパニー(非公開会社)の場合は、資格条件は特になし
  • パブリック・カンパニー(公開会社)の場合は、専門資格者であること

 

ちなみに、プライベート・カンパニーにおいては任命時に専門資格の条件はありませんが、実際は専門知識がないと対応は難しい為、専門的な会社(カンパニー・セクレタリー会社や法律事務所や会計事務所など)に委託する企業が多数を占めているようです。

 

「Company Secretary(カンパニー・セクレタリー/会社秘書役)」の業務内容

「会社秘書役」の業務は、主に「ACRA(会計企業規制庁)」への届出事項に関するものとなります。

 

具体的には、主に以下の通りです。

  • 会社法上の登記事項に関する書類作成・提出・保管
  • 認証のための副署(Countersigning)の管理
  • 取締役会や株主総会の議事録など法定帳簿等の作成・提出・保管
  • 取締役会招集通知や株主総会招集通知などの作成・発送
  • 発行する株券(Share Certificate)への署名・管理
  • 定款の変更手続き

など

 

まとめ

シンガポールで働く中で、普段、「会社秘書役」と直接やり取りする機会は少ないかも知れません。

ただ、「会社秘書役」はどの企業にも少なくとも1名は存在し、根幹となる企業情報の管理・保管等を担っていますので、いざという時は心強い情報源となるでしょう。

 

この記事のまとめ

シンガポール法人には最低1名、「Company Secretary(カンパニー・セクレタリー/会社秘書役)」の業務を担う登録担当者がいる

シンガポールの会社法(Companies Act)に則り、主に「ACRA(会計企業規制庁)」への届出事項に関する業務を担っている

任命条件があり、かつ、6ヶ月以上の空白期間は認められない

 

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