この記事の内容
海外赴任についての本音
海外赴任の打診を受けたら考える3つのポイント
(参考)海外赴任判断Yes/Noチャート
もくじ
海外赴任についての本音
あなたが海外赴任の打診を受けたとき、どう判断しますか? 海外赴任にカッコイイイメージを持っておられる方も多いかもしれませんが、必ずしもそうとも限りません。必ずしも打診を受けることが正解とは限りません。
もちろん得難い経験もできますが、難しい面も沢山あります。
- 語学の問題
- 文化の違いや現地スタッフとの関係性
- 日本になかなか戻れないことが多い(特にコロナ禍は大変)
- 本社よりも小さいので、一人で何役もこなさないといけない
- 仕事の成果のプレッシャー
など枚挙に暇がありません。
言葉や現地スタッフとの文化の違いなどは想像しやすいのですが、実は私自身経験していることで、意外に難しいのは、一人で何役もこなさないといけないという点です。
例えばあなたが日本本社に勤務しているとすると、海外拠点はある意味中小企業です。本社では自分の役割だけを果たせば周囲が勝手にやってくれていたことも、海外では自分でやらないといけないことも多いのです。そこが結構ストレスでうまくいかない赴任者もいます。
また、日本本社では大勢の社員の中の一人かもしれませんが、海外赴任者となるとやはり目立ちますし、会社も赴任者に多くのコストを使うわけですから(住宅費用や赴任手当など)、どの程度あなたが仕事で成果を出すか自ずと注目されます。また、本社だけでなく現地スタッフも、駐在員の仕事のレベルをよく見ていますので、プレッシャーはそれなりに高いです。
海外赴任の打診を受けたら考える3つのポイント
では、はじめて海外赴任の打診を受けた人は、どのように考えればいいのでしょうか? 3つのポイントをご紹介したいと思います。
そもそも海外に行きたかったかどうか?
「なんじゃそりゃ?」と思う方もおられるかもしれませんが、これはすごく重要です。もともと海外に住んでみたい、海外で働いてみたい、と思っていた人は、その時点である程度適性があると私は考えています。語学や文化の違いも当然想定に入っているでしょう。
長いようで短い人生ですので、何かの夢や希望があることはすばらしいので、大変なことも多いですが、積極的にチャレンジすればいいのではと思います。また、駐在員なら(レベルは会社にもよりますが)最低限の待遇は保証されているでしょうから、生活面のリスクは少ないでしょう。
もちろん、注意しなければいけないのは赴任後の仕事の成果です。先述の通り駐在員にはお金がかかりますので、希望して赴任したとしても、結果があまりにも悪いと短期で帰任させられるケースは正直結構あります。そうなったときに、どうしても「海外で成果を出せなかった人」というレッテルを貼られてしまう可能性もありますので、長く住むためには、それなりの覚悟で仕事に取り組まないといけません。
あなたの会社にとって海外事業が花形かどうか?
次に重要なポイントは、あなたの会社にとって、海外事業がどういう位置づけかということです。もちろん商社あたりになると、海外事業は当たり前かもしれませんが、会社によってこの部分は本当に千差万別です。
その指標となるのが海外販売比率です。例えば製造業は海外販売比率が高いことが多く、海外事業が非常に重要な位置づけであることが多いので、海外で働いた経験はむしろプラスになることが多いかもしれません。役員になるのは海外経験が必須、という会社も出てくるでしょう。
少し古いですが、2016年に日本経済新聞社が調査した、日系企業の海外売上高比率ランキングでは、村田製作所やTDKなど、90%を超える会社もあります。
参考
日本経済新聞社 海外売上高比率の高い銘柄 独自技術でシェア伸ばす
しかしながら業種によっては海外販売比率が低く、海外事業はお荷物的扱いの会社もあります。会社によっては海外事業推進派と否定派がいたりする場合もあります。その場合、日本の仕事を捨てて海外に赴任した場合、きちんと成果を出さないと、本流に戻れない可能性も否定できません。
私の勤めているのはIT業界ですが、日系のIT業界は、どちらかというと海外販売比率は低い状況です。各社海外事業を強化しようと必死で闘っていますが、IT技術は世界でも標準化されているものなので、かなりレッドオーシャンであることは間違いありません。
特に会社である程度出世したい人にとっては、こういったポイントは重要となってきます。もちろん全てを凌駕するほどの結果を残して日本に凱旋すれば誰も文句を言いませんが、そう簡単ではないことは想像がつくと思います。
キャリアチェンジしたいかどうか?
もしあなたが今の仕事に閉塞感を感じていて、何らかのキャリアチェンジをしたいと考えていたなら、海外赴任はいい機会かもしれません。学ぶべきことは非常に多いですし、海外で生活しただけでも、少し自分に自信がつくことは間違いありません。
しかしながら、海外勤務だけがキャリアチェンジの方法でもないので、先述の海外赴任の難しさを理解した上で、チャレンジするかどうか判断することをお勧めします。
(参考)海外赴任判断Yes/Noチャート
これまでの説明について、わかりやすく、Yes/Noチャートを作ってみました。参考にしていただければと思います。
海外赴任判断Yes/Noチャート
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海外赴任判断Yes/Noチャート
注意点としては、もし海外赴任を決断したとして、既婚者の場合、単身赴任か家族帯同かどうかの問題は、このチャートには考慮されていません。これはまた別の問題として考える必要があるからです。少しだけポイントを書きますと次の通りです。
・妻又は夫の仕事
これは実に難しい問題で、どちらかが海外赴任する場合で、しかも片方もそれなりに総合職や公務員として働いている場合、そのキャリアを捨ててしまうのは大変もったいないのは間違いありません。休職を許可している会社もあるので、ここは家族でじっくり話し合って決めないといけません。家族が一緒にいること、お金、人生経験、それぞれのキャリアなど、求めるものは家族によって違います。
・子供の教育
ここも難しいポイントですが、子供がいる場合、受験が近いなどの理由で日本に残さないといけない可能性もあります。その場合どうしても単身赴任になることが多いです。子供が小さいうちは帯同しているケースが多いように見えますが、赴任する国の環境にも依存します。
例えば今のようなコロナ禍になるとなかなか海外赴任者の扱いは難しく、こういったリスクも十分あることは理解した上で、単身赴任か家族帯同かは決める必要があると思います。
私自身の場合
最後に私自身のことで言えば、海外赴任の希望は全くなく、海外は我が社にとってまだ花形ではなかったですが、同じ業務を長くしていたので、キャリアチェンジをしたいという思いがありました。それは特に転職ではなく、社内で別の仕事をしてみたいと考えていたので、良いきっかけだったかもしれません。
それでも、英語で仕事なんてしたこともなく、全く想像もつかない世界だったので、やはり決断には勇気が必要でした。
今のところ6年以上勤めているので、会社からは一応機能していると考えてもらっているのでしょう(多分)。
実際他社を見ても、結果が出なかったり、体調を崩したりして、1年で帰国させられるケースもあり、その後日本での立場の微妙になることもあるので、それなりに覚悟が必要であることは間違いありません。
この記事のまとめ
海外赴任は良いことばかりではない。打診を受けたらしっかり考えましょう
海外赴任を判断する際の重要なポイントをしっかり押さえましょう
- そもそも海外に行きたかったかどうか?
- あなたの会社にとって海外事業が花形かどうか?
- キャリアチェンジしたいかどうか?
家族を帯同するかどうかは、家族が置かれている状況にによって事情が違うので、しっかり話し合いましょう