シンガポール居住者が一定額以上の収入をシンガポールで得た場合、個人所得税の納税義務が発生します。
そして、シンガポールには日本のような「源泉徴収制度」がないので、「確定申告」や「納税手続き」が必要となります。
今回はシンガポールの個人所得税について、基本情報と納税方法をご説明します。
この記事の内容
シンガポール居住者の「個人所得税」(Income Tax)の基本情報
シンガポール居住者の「個人所得税」(Income Tax)の確定申告
シンガポール居住者の「個人所得税」(Income Tax)の納税方法
もくじ
シンガポール居住者の「個人所得税」(Income Tax)の基本情報
シンガポールには、日本のような「源泉徴収制度」はありません。
その為、シンガポール居住者(シンガポール滞在が年間183日以上の個人等)は、居住者向け税率に則って、「確定申告」し、「納税手続き」を取る必要があります。
課税所得には、会社から支給される給与・賞与・手当て・会社負担の住宅費等が含まれます。
ただし、「キャピタルゲイン」(株式や不動産資産等の売買差益)は対象外となります。
また、日本における「地方税」のようなもの(住民税など)もありません。
2021年6月現在、税率は「0%~22%」で、課税所得が「SGD20,000.00以下」の場合はゼロ(課税無し)となります。
シンガポール居住者の「個人所得税」(Income Tax)の確定申告
今回、会社勤めの方を前提とし、ご説明します。
雇用主(会社)は前年度(1月~12月)の所得に対して、翌年3月1日までに以下のどちらかの対応を取ります。
※一定人数以上の従業員を雇用している雇用主は、②が必須となります。
①「Form IR8A」(所得証明書)を作成し、従業員に配布する。
→ 従業員は、雇用主から受け取った「Form IR8A」をもとに、4月15日までに(電子申告の場合は4月18日までに)、IRAS(シンガポール税務当局)へ「Form B1」(個人所得税申告書)を提出する。
②「Form IR8A」(所得証明書)を従業員に配布する代わりに、「AIS(Auto-Inclusion Scheme)」と呼ばれる電子申告にて、IRASへ従業員の給与情報を申告する。
→ IRASより「No-Filing Service」(申告不要サービス)連絡を受け、かつ、「控除」等その他調整がなければ、確定申告はそのまま完了。
ちなみに、「No-Filing Service」(申告不要サービス)は以下のような形で、SMSで届きます。現在、かなり普及しているようです。
メモ
駐在員の方に関しては、日本側でも給与や税金等が発生する関係上、計算調整が複雑となり、一般的に赴任先から会計会社など専門家へ委託されることが多いかと思います。
シンガポール居住者の「個人所得税」(Income Tax)の納税方法
確定申告完了後、2~3ヶ月後にIRASから「納税額の計算が完了しました」というSMSが届きます。
そのSMSが届いた後、IRASポータルサイトにログインすると、「Notice of Assessment」(賦課決定通知書)を入手できます。
そして、その発行日から30日以内に納税する必要があります。
IRASポータルサイトにログインして確認する流れは、以下の通りです。
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出典:IRASポータルサイト
納税額を確認した後は、以下の好きな方法で支払い可能です。
(納税から数日後に、IRASポータルサイトで支払い履歴も確認できるようになります)
支払方法
GIRO
PayNow QR
Internet Banking Bill Payment(指定銀行のみ)
DBS PayLah! Mobile App
Phone Banking(指定銀行のみ)
ATM(指定銀行のみ)
AXS
SAM Kiosk
SAM Web / SAM Mobile
NETS(郵便局窓口のみ)
Internet Banking Fund Transfer
Credit Card
Telegraphic Transfer(海外からの支払いのみ)
詳細は、下記サイトをご参照ください。
※支払い送金時、「Tax Reference Number(ID番号)」の明記をお忘れなく。
まとめ
海外での納税手続きは難しく感じるかも知れませんが、シンガポールは非常にシンプルで明快な仕組みとなっていますので、私たち外国人にとっても安心ですね。
ただ、支払いが遅れるとペナルティが発生しますので、納税額確定後は早々に支払いましょう!
この記事のまとめ
シンガポール居住者の「個人所得税」(Income Tax)には「確定申告」が必要
確定申告に際し、雇用主(会社)が所得計算など最初の準備を行い、その後、従業員が必要な手続きを行う
従業員が「No-Filing Service」(申告不要サービス)のSMSを受け取った場合、「控除」等その他調整の必要がなければ、従業員側は手続き不要で完了
IRASから納税額確定連絡のSMSを受け取り次第、30日以内に支払い手続きを取る