シンガポールの企業が経営判断に伴い、重要な決断を行う場合や、シンガポール会社法に則り、期末後の開催が義務付けられている場合など、「株主総会」(AGM・EGM)や「取締役会」(DR等)を開く必要があります。
ただ、その内容や違いなど、わかりづらい部分があるかも知れません。
今回は、企業勤めの方が知っておくべき基本情報をご紹介します。
この記事の内容
シンガポールの「株主総会」と「取締役会」の違いについて
シンガポールの「株主総会」(AGM・EGM)の基本情報
シンガポールの「取締役会」(DR等)の基本情報
シンガポールの「株主総会」と「取締役会」の違いについて
シンガポールの企業が重要なことを決める際、「株主総会」(General Meeting)や「取締役会」(Board of Directors)を開催し、決議をとり、議事録を残します。
企業経営が安全にオープンに行われ、関係者が不利益を被らないようにする為です。
シンガポール会社法 に準拠し、それぞれの議題によって、「株主総会」か「取締役会」のどちらかを開催する流れとなります。
シンガポールの「株主総会」(AGM・EGM)の基本情報
「株主総会」は株主によって構成され、企業経営方針決定の最高機関として位置づけられています。
その「株主総会」には、以下の2種類あります。
① 年次株主総会/定時株主総会:AGM(Annual General Meeting)
② 臨時株主総会:EGM(Extraordinary General Meeting)
①「AGM」は原則一年に1回、決算日(期末)から6ヶ月以内(上場企業の場合は4ヶ月以内)に開催しなければなりません。
※参考:Companies Act - Annual general meeting 175 (1)
また、「AGM」の開催履歴は、「BizFile」(ACRA)にも更新表記されます。(「BizFile」について詳しく知りたい方は、下記ページをご覧ください)
【BizFile】シンガポール版登記簿謄本の基本情報と取得・購入方法
②「EGM」は随時、議題が発生するたびに開催する形となります。
「株主総会」が取り扱う議題は、主に各社の定款(Memorandum and Articles of Association)によりますが、一般的に以下のようなものがあります。
- 財務諸表の承認
- 取締役の選任や解任
- 定款の変更
- 増資や減資の決定
- 会社の合併や清算
- その他の重要事項
シンガポールの「取締役会」(DR等)の基本情報
「取締役会」(Board of Directors)は取締役によって構成され、「株主総会」の権限として規定されているもの以外のすべてを決議できる機関となります。
もし、「株主総会」であらゆる議題を取り扱ってしまうと、あまりにも時間がかかってしまいます。
その為、日常的な業務等に関する議題を決める際に開催されるのが「取締役会」となります。(重要事項は「株主総会」での取り扱いとなることにご注意ください)
※参考:Companies Act - Powers of directors 157A
「取締役会」決議の方法には、以下の2種類あります。
①「取締役会」をリアルに開催して決議を行う方法
② 取締役会議事録を取締役全員に回覧して署名をもらう書面決議(DR:Directors’ Resolution in Writing)による方法
頻繁に取締役が一堂に会することは難しい場合も多い為、書面決議(DR)による方法をとることが多いように思います。
まとめ
シンガポールの企業が重要なことを決める際、議題によって「株主総会」か「取締役会」を開催し、決議をとります。
議題内容によっては、「株主総会」か「取締役会」のどちらの対象になるかわからない場合もあるでしょう。
そのような場合は、書類作成の委託先担当者に相談しましょう。
相談先がわからない場合は、「Company Secretary(カンパニー・セクレタリー)」に相談すると良いかと思います。
(「Company Secretary(カンパニー・セクレタリー)」の会社に書類作成を委託されるケースが多い為)
【会社秘書役】シンガポール法人に必須の「Company Secretary」とは何か?
この記事のまとめ
シンガポールの企業が重要なことを決める際、議題によって「株主総会」か「取締役会」を開催し、決議をとる
「株主総会」は企業経営方針決定の最高機関で、シンガポール会社法や定款によって定められた議題について決議する
「取締役会」は「株主総会」で取り扱う議題以外について決議し、「書面決議」という簡易的な方法をとることも可能